僕は、九州の長崎出身だ。
18歳まで、長崎にいた。
長崎は、雪が、たまに降る。しかし、雪が積もるのは、2,3年に1度くらい。
長崎は、坂が多くて有名な県だ。「全力坂」というミニ番組があるが、長崎だと一生出来ることだろう。
学校や住宅は、坂の上に建つことが多く、それもあってか、学校に自転車通学は禁止されていたのだ。おそらく、危ないからだろう。中学は徒歩。高校はバス通学だった。
そして、その坂のせいか、雪が積もると、学校は必ず休みになる。
バスが坂を登れないからだろう。
しかし、我々長崎人にとって、たまにしかない積雪というのはとんでもなく稀なイベントであり、大雪の日は、学校が休みになったも、学校に集まり、雪で遊んだ。
朝、目が覚め、外に出るとそこは雪国。学校は休み。しかし、みんな必然と、学校に集まった。なぜかというと、学校は高台にあり、広大な敷地もある。そう、平地とは比べ物にならないくらい、とてつもない積雪なのだ。
雪だるまを作り、雪合戦をし、雪だるまを作り、雪合戦をした。先生も、いつのまにか加わっていた。
そう、我々にとって、積雪というのは、ビッグイベントなのだ。
そこから月日が経ち、僕は東京という、まるで国が違うかのような都市に住み、長崎のことなんてほぼ忘れかけている日々を過ごしていた。
しかし、しかしなのだ。
積雪にテンションが上がるのは、いまでも変わらず、そんなニュースが流れていようもんならテレビに釘付けになり、翌日の銀世界を想像してはニヤつき、ビールを飲む。
そして今日。
昨日から「今夜未明から東京23区内にも積雪の恐れあり」との情報をしっかりと掴んでは、深夜2時半まで30分の1回のペースで窓を開け、雪が降っていないか確認した。
その様子を見ていた我が愛犬は、不思議そうに僕を見ていた。
しかし、まだ雨は雪になっていない。
山下達郎も言っている。信じよう。
雨は夜更け過ぎに、雪へと変わるだろう。
そう思いながら、僕はやっと、就寝した。
朝、6時に目が覚めた。
雪が降る予報の日は、なぜか信じられないくらい早くに目が覚める。
雪が降っていることを、願っているのだろう。
しかし、近年、東京23区では、積雪はない。僕は、とても残念な思いを、してきた。
今度こそは、今日こそはと、願った。
僕は、朝6時、カーテンを開け、窓を開けた。
小雨だ。ただの、小雨だった。傘をさしてても胸くらいまで濡れるくらいの、嫌なタイプの小雨だった。
僕はガッカリを通り越して、世界を恨んだ。
なぜ、こんなことが起こるのか。
なぜ、世界は戦争や内戦を繰り返すのか。
なぜ、差別はなくならないのか。
なぜ、袴田吉彦はアパホテルだったのか。
そんなことを、思いながら、また寝た。
しかし、雪が積もると、困る人がたくさんいる。
これでよかったのだ。これで、これで、、、よかったのだ。。。
正直に言います。
雪だるま作らせてください。
こちらからは、以上です。