僕は、深夜にコンビニへ、旅に出た。
理由は、急にお茶漬けが食べたくなったのだが、永谷園のあれがなかったから、というものだった。
その日は昨日から降った雨のせいで気温が低く、人はいつもよりも少なかった。
なぜ僕は、こんな深夜にお茶漬けが食べたくなり、そしてそれを求めてコンビニへ行ったのだろう。そんなことばかり考えながら、歩いた。
こんな季節にサンダルなのは、靴下を履くのがめんどくさい、という僕のあれなのだろう。
そんな自分の足先を眺めていたら、あるものが落ちていることに気づいた。
それは、ズボンだった。
道にズボンが、落ちている。
僕は、立ち止まった。それには、ズボンが落ちていることだけではなかった。
なぜ子供用のズボンが、落ちているのか。
僕は、その二つの理由で、立ち止まった。
最近の僕は、確かに、確かに、ミステリーな本やドラマを見ていた。確かに見ていたせいで、思考せざるを得ない状態だった。
僕の思考は、こうだ。
- なぜ、子供用のズボンが落ちているのか
- 風はないので、洗濯物が飛んできたわけではない
- 子供がふざけた脱いだのか?
- いや、こんな極寒で脱ぐわけはない
- 落とした?
- ズボンを単体で落とすか?
- ガッキーは可愛い
というもの。
僕は、一瞬、事件性があるんじゃないか、そう思った。
なぜか。
それは、最近、警察もののミステリーばかり見ていたからだ。
しかし、僕は警察ではない。
深夜にお茶漬けが食べたくなったただの美容師だ。
僕はそう思いながら、お茶漬けを買いに行った。
お茶漬けだけを買うつもりだったが、あたりめというイカのおつまみも買ってしまった。あれはおつまみとしてももちろん優秀なのだが、高タンパク低カロリー低脂質という点が素晴らしい。食べてもそこまで太らないのだ。
なので、僕は買った。
PayPayで。
あたりめも買っちゃったな、なんて口ずさみながら、またズボンが落ちていた道を通った。
僕は、正直、お茶漬けとあたりめを買っている時、ズボンのことは忘れていた。
しかし、また目の当たりにした時、僕は思った。
なんだ、これは、と。
これは何か事件か?
誘拐されたのではないか?
しかし、じゃあなぜズボンを脱がせたのか。
変態?
世の中にはたくさんの変態がいるが、そいつらの仕業か?
僕は、友達に、LINEをした。
これは、警察に連絡すべきなのか。
友達は言った。
「逆になんでそう思うの?」
僕はそのLINEを無視して、お茶漬けを食べた。